防衛力強化のための5つの財源

政治(国内)

 政府は、中国・ロシア・北朝鮮などの脅威を見据えた新たな計画を実行するため、国家安全保障戦略、国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書を令和4年(2022年)12月16日に閣議決定した読売新聞。安全保障政策と防衛費の水準を大きく見直す改定となった一方、防衛費増額の財源として増税することは、経済を弱体化させ本当の意味で日本を守ることに繋がるのか、難解な国の財源について考えていきます。

1.防衛予算の変更 

 岸田政権は、防衛力の抜本的な強化を行うために、防衛費増の財源の不足分を増税で確保する方針を固めた。その後自民、公明両党は(16日午後)法人、所得、たばこの3税を増税するなどの措置を実施するとし、歳出・歳入の両方からの安定的財源を確保するとした2023 年度税制改正大綱をまとめた。税制部分について、具体的な増税の時期は2024年以降の適切な時期に、27年度の時点で年間1兆円強の財源を確保する読売新聞

 一方同じ政権内や与党、野党からは、適切な時期や財源確保について議論を深める意見が述べられた。複数の閣僚からは、法人税が軸となる増税時期などをめぐり、企業の賃上げマインドを冷やす発言で、このタイミング(増税時期)でした真意が理解できないと投稿があった読売新聞。与党の政調会長からは、税は最終手段でまずは他の財源を確保する努力をすべきだ(自民)、時期は経済状況見極めたうえで(公明)と述べた。また、野党の維新は増税撤回と歳出削減を述べているNHK

 次期通常国会で財源確保にかかわる法案が提出されると増税は確定されるとのことで、年末から年始において同法案の与党での扱われる過程が注目される現代ビジネス。防衛力強化のために、数年後の増税だけでなく増税以外の他の財源の確保にはどのような種類があるのか。その基本的な考え方やキーワードを整理し、ニュースやSNSの情報と合わせて自分で考えるための基礎知識を共有したいと思います。予算作りには、5つの種類があることを高橋洋一氏が記事zakzakなどで紹介しており、以下確認していきましょう。

2.【5つの財源】歳出改革と歳入の手段について

(1)他の歳出カット

 歳出改革という表現も、金額少ない、他省庁の反対がある

(2)自然増収

 税収を増やす、23年は22年の円安で増収が確実な見通し、確実性がないと財務省が消極的とのこと

(3)建設国債対象

 過去の例:海保の船舶・人工衛星も対象、つなぎ国債とは違う、生前の安倍元首相が言及した防衛国債のことで償還60年の建設国債(財政学での課税平準化理論)、財務省はつなぎ国債にすり替えて防衛増税にする可能性、課税負担を平準化するために長期国債で対応、負担を現世代だけではなく将来世代も便益を受けるので、負担は理にかなっている、岸田政権でも一部認めた建設国債対象経費をさらに拡大できるかどうか現代ビジネス今後のポイント、一部活用の予定例として自衛隊施設の整備費27年度までに1.6兆円にとどまる、22年ドイツも国内総生産(GDP)比1.5%を2%まで高めるために特別基金を作ったが財源は国債zakzak

(4)その他の収入(埋蔵金)

 例:外国為替資金特別会計、円安による儲け(外為特会「評価益」30~40兆円と外為特会「剰余金」で言葉が似ているが金額が異なるので注意が必要)(余剰金は少ない)、一般会計に計上の債務償還費(2022年度15.6兆円)、日銀納付金(3兆円)を含め特別会計の埋蔵金をさらに出せるか現代ビジネス、過去の例:小泉政権、安倍(・菅)政権で実施。
国債60年償還ルールの見直し議論について→下記の図の債務償還費16兆円を防衛増税分に充てる案がある。過去に債務償還費の1.6%の繰り入れをしなかった年もあったとのことですが、国債の信任という問題にはならなかったということです。そうすることで、増税しなくても防衛力を強化できることが考えられます。参考:682回高橋洋一チャンネル、zakzak日本の解き方

(5)増税

 財務省の本命、当面つなぎ国債として増税に結びつける、前例:東日本大震災:つなぎ国債を発行して復興特別所得税で増税。増税した場合、平時において経済を弱めてしまう、万が一有事になったらさらに経済を悪化させ、有事対応すらできなくなってしまう、数十年に一回という大震災などで経済が大打撃を受けているのに復興財源を増税にしたら、ダブルパンチになってしまう、防衛力強化資金は区分経理で増税につなげるための手段で財源確保のための増税につながるとのこと、税収には2つあり、①税率を上げる増税、②税率を上げない増収に分けられるとのこと。②に言及せずに①の増税だけのようなイメージ操作を財務省は行い、2022年度は過去最高の税収だったことも忘れ去られているzakzak

3.まとめ

 自民党の参議院幹事長は、国債の償還費の一部を充てるなど、増税によらない財源の確保策について党内で議論を深めるべきだという考えを示したNHK。経済状況を見ながら(1)(2)さらに(3)(4)の範囲を広げる議論をしてほしい。
 27年度の時点で年間1兆円強の財源を確保するために、増税で経済を停滞させ有事の対応が出来なくなることは避けなければならない。硬直的な政府全体の予算配分を改めたことは良いが、防衛強化を増税で拡充することは、本当に国を守る意志を内外に示したと言えるのだろうか。
 今後注目される増税や増税以外の歳入などのニュースや記事を目にした時は、今回紹介した5つの財源を思い返して頂くと難しい政治の内容が少しはわかりやすくなるのではないかと思います。



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